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平成29年府民生活・厚生常任委員会閉会中 本文 開催日: 2017-08-22
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    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成29年環境・建設交通常任委員会閉会中 本文 2017-08-22 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 40 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  要約 選択 2 :  開会 選択 3 :  所管事項の調査 選択 4 :  ◯兎委員長 選択 5 :  ◯山本建設交通部長 選択 6 :  ◯兎委員長 選択 7 :  ◯大石参考人 選択 8 :  ◯兎委員長 選択 9 :  ◯小原委員 選択 10 :  ◯大石参考人 選択 11 :  ◯小原委員 選択 12 :  ◯大石参考人 選択 13 :  ◯小原委員 選択 14 :  ◯大石参考人 選択 15 :  ◯小原委員 選択 16 :  ◯大石参考人 選択 17 :  ◯小原委員 選択 18 :  ◯山本建設交通部長 選択 19 :  ◯小原委員 選択 20 :  ◯中川委員 選択 21 :  ◯大石参考人 選択 22 :  ◯中川委員 選択 23 :  ◯大石参考人 選択 24 :  ◯中川委員 選択 25 :  ◯二之湯委員 選択 26 :  ◯大石参考人 選択 27 :  ◯二之湯委員 選択 28 :  ◯大石参考人 選択 29 :  ◯二之湯委員 選択 30 :  ◯大石参考人 選択 31 :  ◯前窪委員 選択 32 :  ◯大石参考人 選択 33 :  ◯前窪委員 選択 34 :  ◯大石参考人 選択 35 :  ◯前窪委員 選択 36 :  ◯大石参考人 選択 37 :  ◯前窪委員 選択 38 :  ◯兎委員長 選択 39 :  その他 選択 40 :  閉会 ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1:                                      別 紙              議 事 の 経 過 概 要 ┌                                       ┐ │ 兎本委員長開会宣告の後、兎本委員長から出席要求理事者の交替の報告が行われた。│ │ 議事に入り、所管事項の調査等を行い、閉会した。               │ └                                       ┘ 2: 1 開 会  (1) 兎本委員長から開会宣告が行われた。  (2) 兎本委員長から出席要求理事者の交替の報告が行われた。 3: 2 所管事項の調査   下記のテーマについて、理事者及び参考人から説明を聴取した後、質疑及び意見交換  が行われた。
      ・地方創生に向けた幹線道路整備について 4: ◯兎委員長  まず、所管事項の調査についてでありますが、本日のテーマは「地方創生に向けた幹線道路整備について」であり、参考人として、一般社団法人全日本建設技術協会会長の大石久和様に御出席いただいております。  本日は、大変お忙しい中にもかかわらず、本委員会のために、快く参考人をお引き受けいただき、まことにありがとうございます。  大石様におかれましては、京都大学大学院工学研究科修士課程を修了後、旧建設省に入省、道路局長、国土交通省技監などを歴任された後、一般財団法人国土技術研究センター理事長を経て、平成28年6月から現職につかれております。  また、今年度には土木学会の会長に就任されるなど、国土学や国土計画の分野で幅広く御活躍されていると伺っております。  本日は、そういった日ごろの御活動を踏まえたお話をお聞かせいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、初めに理事者からテーマに係る説明を聴取いたします。説明は、簡潔明瞭にお願いいたします。 5: ◯山本建設交通部長  それでは、私のほうから本日のテーマに係る説明といたしまして、府内の主な幹線道路の状況等につきまして簡潔に御説明を申し上げたいというように思います。  お配りしておりますA3資料の1枚目をごらんいただければと思います。主な幹線道路におけます事業中もしくは国等に要望させていただいている箇所を示させていただいております。  京都府域におきましては、ことしの4月30日に新名神高速道路の城陽から八幡京田辺間が開通をいたしまして、京都府の南北を貫く大動脈がようやくつながったということでございます。移動の利便性に加えまして、物流、観光、災害時のリダンダンシー等に非常に大きな効果があらわれているというように考えております。  その後、平成35年度全線供用を目標としております新名神高速道路や日本海国土軸としての役割を担う山陰近畿自動車道等の高規格幹線道路の早期完成や、現在、国において計画段階評価を実施中の宇治木津線の早期事業化等につきまして、国に対して積極的に要望しているところでございます。  また、高速道路の効果を府域全域に波及させるために、京都舞鶴港と舞鶴若狭自動車道を結ぶ国道27号西舞鶴道路や新名神高速道路、京奈和自動車道へのアクセス性の向上等を図る国道24号(寺田拡幅)、国道163号(精華拡幅)及び木津東バイパス等につきまして、国において取り組んでいただいているところでございます。  また、京都府におきましても、山陰近畿自動車道へアクセスする大宮峰山インター線や、図にはお示ししておりませんけれども、新名神へのアクセス道路ともなる宇治木屋線(犬打峠)、宇治田原山手線等を今年度から事業化したところでありますし、こういった道路も含めまして積極的に取り組んできているところでございます。  さらには、各地域を結ぶ道路整備でありますとか日常生活を支える生活道路につきましても、府域各所で通学路の交通安全対策等を着実に実施をしているところでございます。こういった施策によりまして安心を確保するとともに、京都の新たな時代の交流を生み出しながら共生社会の実現に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。  なお、このA3資料の2枚目に、より広域的な近畿圏全体の高速道路の整備状況をお示ししておりますので、ごらんおきいただければと思います。  理事者側からの説明は以上でございます。 6: ◯兎委員長  ありがとうございました。  次に、参考人の御意見を拝聴いたしたいと思いますが、説明の準備が整うまで、しばらくお待ち願います。  それでは、大石様、よろしくお願いいたします。 7: ◯大石参考人  先ほど御丁寧な御紹介をいただきました大石でございます。今、書いていただいております所属で、京都府や京都市の技術系の皆様方が中心にというか、全国の都道府県、市町村の技術職の皆さん方が中心になって構成しております全日本建設技術協会、昨年70周年だったんですが、現在でも6万人の会員がおられるところの会長をさせていただいております。もちろん、直轄のメンバーもたくさん入っているんですが、70年前には、県や市町村におきましても技術系の人間の処遇が事務系の人間の処遇に比べて著しく低かった。今、土木部だとか県土整備部だとかいうのが存在しない府県は考えられませんが、戦前には二十幾つもの県でそういった組織がなかったといったようなことがありましたものですから、戦後すぐにこういう活動が始まったという次第であります。  また、委員長から御紹介いただきましたように、ことしの6月から第105代になるんですが、土木学会の会長をさせていただいております。いろいろ土木行政、先生方には何かと御指導、御支援をいただいておりますが、そういったところのポストを務めさせていただいております。  また、建設省、国土交通省時代には京都府の皆様方あるいは府議会の皆様方にも大変お世話になりまして、御支援をいただきました。これも改めて御礼を申し上げたいと思います。  ただ、いろんな事情がありまして、京都府下の幹線道路整備は他所に比べるとかなり、著しいと言っていいほどおくれをみておったことは確かであります。それが今日、やっと一定のレベルになってきたということであります。しかしながら、道路が持っております意義だとか意味を考えますと、この程度のネットワークで京都府民が持っておりますエネルギーを十分に活用したり、全国の中にそれを位置づけたりするにはまだまだ不十分だと思っておりまして、諸外国等の動向も含めて先生方に御紹介いたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  パワーポイントを中心にお話しさせていただきますので、お許しいただきたいと思います。  「道路の考え方」と随分大層なタイトルになってございます。道路とはそもそも何なんだろう、道路というインフラとは何なんだろう、そもそもインフラとは何なんだろうといったことについて、私の考えを御紹介したいと思います。  私の認識では、日本ほどインフラをないがしろにしてきた国はないと思っております。後で御紹介しますように、我が国の首脳、例えば総理でありますとか政党のトップがインフラ整備の重要性について発言したことが、まずありません。「インフラ」という言葉を使ったこともありません。ところが諸外国の首脳はインフラの重要性をたびたび口にしている。オバマ大統領は発言するたびにインフラに言及しております。今回のトランプさんはもう一つはっきりしないところもあるんですけれども、インフラの重要性についての認識は何度か語っておられます。地方創生というには、まずは地方のモビリティーをいかに確保するかということこそが大事なんじゃないかと、私はこのように思っております。  まずお見せするのは、ドイツと日本の高規格幹線道路のネットワーク図であります。御存じのとおりドイツは日本よりやや小さい国で、35万平方キロメートルぐらいしかないんですが、この国土の上に8,200万人が暮らしています。この8,200万人が活動し、活躍して国際的な競争力や経済成長をするために、これだけのネットワークが必要だと彼らは考えているわけであります。これがアウトバーン・ネットワークです。緑色のところが片側2車線で、濃いブルーのところが片側3車線ないしはそれ以上というところでありまして、先生方もお走りになったことがおありと思いますが、これは速度制限がありません。しかしながら、環境の問題だとか交通安全の問題とかエネルギーの問題等もあって、政府は130キロ以下程度で走るのが望ましいという推奨速度というものを持っています。したがって、130キロぐらいで走りなさいねと。ですが、実質無制限で、私自身も若いころの経験ですが、200キロで走らせていただいたことがあります。200キロで走ってもほとんど不安を感じない程度に路面の管理ができておりますし、線形、カーブの曲がりぐあいだとかいうのも、それに耐えられるようなものになっています。  ドイツはこれだけのネットワークで物流を支え、人流を支えることによって、ドイツという国を競争力がある国にしたい、経済成長できる国にしたいと考えているわけですが、では、日本はどう考えているのかというと、ドイツよりやや広い38万平方キロで、こんなに細長い国ですから、ほっておいてもドイツよりも長いネットワークが必要なんですが、それでも、今、我々が持っている高規格は、私が調べた時点で、ドイツ1万3,000キロに対して1万1,500キロぐらい。このひょろひょろと赤で書いているところが大変くせ者でありまして、京都の周辺あるいは中国地方の山陰側、特に地方部ほどこれが目立っておりますが、これは何かというと、凡例に書いてございますように、暫定2車線ないしは完成2車線でつくっております道路であります。したがって、暫定的に対向分離ができているだけですから、正面衝突の危険がある。現にたくさんの正面衝突が起こっておるということなので、70キロ以下でしか走れないというようなネットワークになっています。つまり、この赤いところは70キロ以下でしか走れない。青いところでも100キロでしか走れないんですが、高速道路の速度制限がこんなに低い国は、世界の中でそんなにありません。100キロという規制にしている国は、ほとんどないですね。韓国も110キロですし、その他の国々は大体百二、三十キロですが、日本は100キロです。この赤いところが70キロなんですが、地方創生というのであれば、この赤いところを100キロで走れるようにして地方のモビリティーを高めるということこそが、地方創生のまず最初の施策であるべきだと私は考えているのですが、残念ながら、現在の安倍政権の地方創生は公共事業を除きでありますから、こういうものは全然ターゲットに入っていません。  何で、力を入れてこれを言うかということですが、高速道路利用率、走行台キロですね。1台が10キロ走るのと10台が1キロ走るのとは等価であると、そういう考え方ですね。例えば、環境負荷なんかを考えると、それは等価でありますが、そういった考え方で走行台キロに占める高速道路利用の割合を見たものなんですが、日本は16%です。ところが、アメリカもフランスもドイツも30%ぐらい。つまり、信号機がない、歩行者がいない、自転車がいないといったような道路に交通を吸収するのは、交通安全のためにも、環境のためにも、信号機があればゴー・アンド・ストップがありますから排ガスを余分に出すということになるんですけれども、こういう自専道(自動車専用道路)に吸い上げることはより望ましいことなんですが、我が国は先進国の中で自専道に吸い上げることはできていない、著しく吸い上げることができていない、そういう国になっています。混合交通の中で大量の交通を処理している、こういう状況になっております。  またちょっと違う見方なんですが、燃費です。左側がカタログ燃費なんです。カタログ燃費の数字というのはいろいろ議論がありますが、傾向値だけで追いかけてみますと、定義はどうあれ、ドイツ、イギリス、フランス、日本はそれぞれ、近年、著しい燃費の改善を各自動車メーカーは行ってきました。最近のデータがないのでイギリス、ドイツなんかは余り出ていませんが、日本のメーカーも急激に燃費を上げてきております。ところが、アメリカはかなり大きな車が走るのが好きですから、カタログ値でも燃費効率がなかなか下がらない。ところが、問題は実走行でありまして、右側が実走行の燃費でありますが、実走行燃費になりますと、ドイツ、イギリス、フランスは大体同じように実走行燃費も低いということなんですが、日本は残念ながら急にアメリカのほうに接近していきまして、最近でこそ実走行燃費もかなり改善してきておりますけれども、ドイツ、イギリス、フランスなんかには相当な差をつけられていると。これはなぜかというと、実際、燃費効率の高い走り方をすることができない。渋滞があるだとかゴー・アンド・ストップが多いだとかいうような道路に交通が分断させられている様子がこれで示されているわけでありまして、これ一つ見ても、国民の交通需要に対して道路ネットワークが十分なサービスができているということは言えない、このように思うんです。最初に、地方創生と言うのであればモビリティーだということを言いましたのは、こういうことがあるからなんですね。  今のドイツのメルケル政権も、実は連立政権であります。3党の合意ででき上がっている政権なんですが、この政権は2013年に連立合意するときに、これは12月と書いてございますが、実際は選挙は9月にありました。長い間、大連立でいくか、小連立でいくかとした挙げ句に、最後に3党合意になったんですが、その3党の合意文書の中に、交通分野の基本姿勢というのを合意しておきましょうねといったようなことがあるんですね。これは日本では考えられませんね。日本の今の安倍政権も連立政権ですが、自民党と公明党との間で交通分野の基本姿勢についてお互いの考え方を統一しておきましょうねなんてことは全くありません。しかし、ドイツではありました。そのドイツの交通分野の基本姿勢の合意の内容が、モビリティーは個人の自由や社会参加及び豊かな経済成長のための重要な前提だねと、そのために必要なのが質の高い交通インフラだねと。あれだけアウトバーンを持っているのに。それは、欧州及びグローバル社会においてドイツの競争力を保証するものとなるから、今まで構造的には過少投資、後でそのデータを示しますが、過少投資だったので計画をちゃんとつくって財源確保しようねといったようなことを合意しているんですね。つまり、成長のために、あるいは競争力を確保するためにはモビリティーが一番大事だという認識をメルケルさんたちは持ったということなんです。そういうことで言うと、70キロでしか走れないような道路をほったらかしにしておいて、その他の一般道路は60キロで走れるかどうかという道路しかないわけですね。そういう地方にしておいて、さあ、地方頑張れと言ってみたところで、頑張ったって頑張り切れるわけがない、このように思うんです。まず、モビリティー条件を大都市部、関東だとかと同じような条件に引き上げていかないかんというように思うんだけれども、そういうのがまるで入っていなくて、繰り返しですけれども、我が国の地方創生は公共事業除きですから、この70キロ規制になっているところを100キロにするんだというのはできないと、こういうことなんです。  これは、メルケルさんたちだけじゃないんですね。先ほどは2013年ですが、2016年11月にもメルケルさんはインフラ投資を約束しておりますし、またドイツは2030年に向けた国家レベルの交通計画、インフラ投資計画をつくっているんです。その中でもインフラとモビリティーは雇用や成長の基盤だというようなことを言っているし、モビリティーがなければ繁栄はないということが経済の基本原理だというところまで言い切っている。また、ことしの5月には、ドイツとフランスの共同で議論すべきテーマというものをまとめていますが、交通インフラやデジタルネットワーク分野でのドイツ、フランスの共同投資をやっていこうねと、こんなことも言っているわけです。冒頭言いましたように、こういう議論がまるで欠けている我が国。我が国がインフラという議論をするときに日本の政治家から必ず出る言葉は、公共事業でしかありません。公共事業というのはインフラと違って、ことし幾らお金を使うか、ことし幾ら京都府が道路をつくるかというようなフローの表現でしかないわけです。ことし幾らお金を使って京都にどれだけのネットワークをつくるかが問題なのに、その用語が使えていないというところがそもそも大問題だと、このように思います。  イギリスのキャメロンのときも、インフラは経済戦略の重要な要素だから後回しにできないと言いましたし、メイ首相もいろいろ苦労はしておられるようですけれども、メイ首相も産業戦略の中でインフラのアップグレードというのをちゃんと入れている。インフラ投資を地方への成長へとつなげる必要があるんだと、こんなことをちゃんと言っているわけです。残念ながら、海外の首脳がインフラについて発言をしたというのはほとんど日本では紹介されませんから余り御存じでないかもわかりませんが、京都府の当局は多分いろいろ勉強して御存じなんだろうと思います。  ついでに1つ紹介いたしますと、この間、ドイツ、スイス、イタリアを結ぶ、我が国の青函トンネルを超える鉄道トンネルが完成しました。ゴッタルドトンネルといいます。メルケルさんや当時のイタリアのレンツィさんなんかが一緒に電車に乗ったというのが日本でも報道されましたが、これが青函トンネルの55キロを超えて57キロだったんです。それで終わりかと思ったら、今度はEUの投資計画として、フランスのリヨンとイタリアのトリノを結ぶ新たな鉄道トンネル、これは何とゴッタルドトンネルの57キロに対して57.5キロというようなものを、これから新たにつくる。これも青函トンネルを超えています。それの資金計画が固まりましたといったようなことを日本の土木学会に彼らが説明しに来ました。つまり、EUは今まであるネットワークで十分だなんて全然考えていない。これから中国と対抗し、アメリカと対抗していくためにはネットワークの充実を図らないかんのだということで一生懸命やっている、その考え方の基本にインフラが成長と競争力の根源だと考えているというところを御紹介させていただきました。道路はその中でも根幹中の根幹ですね。  では、我が国は道路を中心とするインフラ整備をこの20年間どのようにやってきたのかというのを示したものが、これなんですね。公共事業費から用地費及び補償費を抜いておりますのは、経済的には最終消費されるということは極めて大事なんですが、最終消費されたもの、あるいは、公的固定資本形成といいまして、例えば京都府なら京都府に道路の形になったもの、ダムの形になったもの、堤防の形になったもの、港の形になったものという固定資本をどの程度世界各国は形成してきたのかというのを比較したものなんですね。1996年を100として、下げたのは日本だけです。おまけに、日本は半減以下という下げ方です。その間、カナダは3倍に、イギリスも3倍に、韓国は2.5倍に、スウェーデンは2倍に、アメリカも2倍に、フランスも1.7倍に伸ばし、ドイツも一旦は0.75ぐらいに下げたんですが、メルケルさんらが過少投資が続いたと言ったのは、ここなんですね。メルケルがここが過少投資が続いたと言ったのなら、日本のことをメルケルさんは何と表現してくれるんでしょうと思いたいぐらいです。0.5を切ったのは日本だけです。  日本は、先ほどもお見せしましたように、ドイツやヨーロッパの諸国に比べて空港も港湾も道路も河川整備もダムも十分でき上がったから、もうやるところがないぐらいになったのかというと、決してそんなことはありません。先ほどの高速道路の例も明らかですね。ないにもかかわらず、このようなことをやってきたのは財政が厳しいからという理由ですが、これが実は我が国の経済成長の足を引っ張ってきたということになっているのであります。  安倍さんになったらちゃんとアベノミクスで第二の矢で財政出動をやると言ったんだから、これは回復したかと。先ほど私がお見せしたのは2012年までですから、平成24年までです。だから、伸びたのかというと、残念ながらです。なるほど、安倍さんは平成24年に2.4兆円という大きな補正を組みましたが、昨年、平成28年には1兆数千億円レベルの補正を打ちました。しかし、ことし平成29年の当初予算は、この5兆4,000億円レベルから全く変わっておりません。せいぜい数十億伸びただけです。したがって、現在、我が国はいまだにあのトレンド線上にあると言って間違いないと思います。この2.4兆円はかなりの経済成長を引っ張ってきたんですよ。にもかかわらず、これはもう今ではやられておりません。この辺の補正は、みんな災害補正です。災害で補正を組んだというようなものであります。本来なら当初できちっと伸ばしていくということをやらなければ、建設会社も関連する会社も設備投資だとか新たな才能ある人間を雇用するはずがないんです。そういうことはやれない。補正、補正でやっていますから、こういうことになっているわけです。昨年に1兆数千億打って、ことしの当初予算が5.4兆円と変わらない当初予算で進んでいるわけですから、昨年並みの補正がなければ、我が国の経済成長はかなりダウンすると私は思っています。  というのは、つい先日も我が国は経済成長が続いているという報道が続きました。あれはかなり注意して見なければならない報道で、本来、名目経済成長率で見なければならないのに実質経済成長率で書いているんですね。デフレの国で実質経済成長なんてほとんど意味がありません。名目経済成長値が正しい統計値なんですが、それにデフレータをぶっかけたものが実質経済成長です。デフレータはいまだにマイナス基調ですから、したがって名目に対してかさ上げされるんです。これが実質です。それですら、私はかなりダウンしてしまうんじゃないかという心配をいたしております。  そもそも、GDPが伸びなければ経済成長したということにはなりませんし、これがなければ税収は絶対にふえない。これは100%の正しさで税収はふえません。では、GDPの右辺の項目がふえればいいんですが、残念ながら、後で御紹介しますように、民間の皆様方もお金を使ってくれない、企業も投資をしてくれない、政府も歳出削減だ、削減だと言っている、純輸出も残念ながらそんなに輸出は好調じゃないということになったこのときに、この公的固定資本形成を下げ続けてきたわけですから、簡単に経済成長するわけがないというのは、簡単におわかりいただけるというように思います。  その間、我が国は何をやってきたかというと、構造改革なくして景気回復なしなんていう言葉をずっと叫び続けてきたんです。叫び続けてきたんですけれども、構造改革なんて私に言わせるとバズワードもいいところで、具体的に何をどう変えることなんだ、そう変えたらそれで経済成長するのかどうかといったような検証ある議論がほとんどなくて、とにかく構造改革、構造改革と言ってきただけ。その結果、我が国は極めて悲惨なことに、世界の中で唯一、経済成長しない国になってしまいました。  これが各国の名目GDPの推移であります。これは実質で書くと、日本はちょっと上がったように見えるんです、デフレの分だけ。だけど名目で書くと、こんな状況です。これは世界中の国と比較しているんです。日本、アジア、欧州、中国、アメリカだけを特出しして、その他の国です。だから、ラテンアメリカとかアフリカだとかいったようなところでも、これだけの経済成長をしているし、中国は2009年あたりに日本を追い越して、現在では2.5倍ぐらいになっているというんだけれども、日本だけが全く横にはっている、こういう国になったということでありまして、これはひどい言い方をすると、平成失政と言ってもいいぐらいのことだと思います。  これは、アメリカのGDPと税収とを1990年でクロスするように私が作図したものです。これが日本のGDPです。これが日本の総税収です。GDPが伸びないから総税収は全く伸びていません。これはアメリカのGDPです。これはアメリカの総税収です。ここが1990年で100です。現在は2016年で300です。つまり、アメリカはこの間、GDPが3倍に伸びて、税収も3倍に伸びているんです。  御紹介しますように、総税収ですが、日本は一時期国民が税金を60兆円納めることができた。これがアメリカのように3倍に伸びておれば、今、日本国民は180兆円、ちょっと180兆円は多過ぎるので2倍にして120兆円ぐらいの税金を納めることができたはずなんです。ことしの財政規模は九十数兆円ですから、1円の赤字国債も、1円の建設国債も発行することなく我が国は経済運営できていたはずなんです、アメリカのようにGDPが伸びていれば。だけど伸びなかった。人口が減るからとかどうのこうのという話はあります。なるほど、1995年から生産年齢人口は減り始めていますが、日本の生産年齢人口の減りぐあいとアメリカの生産年齢人口のふえぐあいを加味したとしても、1.0と3倍の変化になるわけがない。私たちが何か経済政策を間違えてきたからだ、こう言わざるを得ない。  これは総税収です。私、これは先生方にぜひごらんいただきたいんですが、下が消費税なんです。我が国の財政問題は消費税を上げるかどうかという問題ではないということが、これを見ただけで明らか、一目瞭然おわかりいただけると思います。問題は総税収なんです。総税収が上がらなければならないのに、昨年も税収見込みを下回ってしまいました。これを上げれば済むんだと。これ、2%上げてもちょこっと上がりますよ、3%でこうだったんですから。上がりますけれども、これはまた国民の消費を減退させることになりますから、マイナスの効果も非常に大きい。そうではなくて、総税収がふえる。そのためには、国民の皆さん方が活発にサービスや物を売り買いするという環境が整備されなければならない、こういうことなんですね。  そもそも、こういう数字が出ることはまずないんですけれども、日本の付加価値税、消費税は今はたった8%ですよ。スウェーデンの付加価値税は25%です。ところが、スウェーデンの付加価値税は25%なのに、スウェーデンの総税収に占める付加価値税の割合はたった18.5%ですよ。何で日本が8%の付加価値税なのに30%もの国税に占める割合を持っているんだと。要するに、付加価値税以外、消費税以外の税収がいかに入ってきていないか、こういうことなんですね。このグラフが皆さん方の目に触れることはないというのも不思議な話です。  1995年にグリーンスパンが日本はデフレに入っていると言って、実際物価が下がり始めるのは1998年なんですが、グリーンスパンは見抜いていたんです。それ以降、我が国はずっとデフレのままで、デフレということは国民の賃金が下がり続けるということなんです。現に、1995年の国民の平均所得は世帯660万円あったにもかかわらず、2015年には546万円に下がっているわけです。こんなに下がっちゃったということであります。  共働き世帯と専業主婦世帯も、我が国は1995年がエポックメーキングの年なんですが、1995年にかつては1,114万人も専業主婦がいたのに、現在は664万世帯に下がってきている。つまり、奥様が働きに出ないことには家計が維持できないという構造があらわれてきていて、したがって問題は保育所が足りるか、足りないかという問題以前に、奥様が働きに出なければならない世帯というのがふえているということなんです。それほどに家計が貧困化していったということなんです。  これは生活保護ですが、これも1995年ごろにはボトムでした。60万世帯を切っていた。一番左は昭和27年ですが、日本人がほとんど飯も食えなかったというような状況よりも、はるかに生活保護世帯がふえている。経済学者は実に簡単に、高齢化が進んでいるからだなんて言いますが、高齢化が進んでいるからだなんてことでは多分説明がつかない。国民が貧困化していっているということは間違いない事実だと言っていいというように思っております。これを何とか反転しないかんと。  これが私が見るところの恐怖のグラフでして、1995年、日本がアメリカ経済に一番近づいたときなんですが、このときの日本の名目GDPは世界の17.6%のシェアを占めていました。つまり、日本は世界に対して2割の国だった。それぐらい大きな国だった。そのときの中国はわずか2%です。このとき中国は日本に対して一生懸命、日中友好、日中友好と言っていた。たった2%ですから日本の9分の1のGDPだったんですよ。たった20年前ですよ。それが今日では、日本が5.9%に落ちて、中国が15%に上がっている。したがって中国が、もう日本は中国と対抗しようというような考え方を捨てたらどうだなんてことを言うのは、こういう状況です。日本は世界の2割の国から世界で6%の国に成り下がっちゃったと、こういうことなんですね、この20年間で。これは恐ろしいことで、こんなに急激に地位低下をしてきたのは、多分、世界に例がないでしょうね。これは人口の問題だとか高齢化の問題なんかでは全然説明がつかないということなんです。まとめて言えば、日本の地位は現在では、軍事力だとか面積じゃありませんよね。経済的地位は思い切り下がりました。日本人の生活はかなり貧乏になりました。相対的貧困率も上がりました。何とOECD30カ国中、下から4番目という相対的貧困率という国になってしまいました。成り下がってしまいました。  そして、おまけに、これは京都におられるデービット・アトキンソンという小西美術工藝社の社長さんですが、「新・観光立国論」を書いておられるこの方が、実は安全保障にも暗い影を落とすよと、日本経済が低迷しているとアメリカにとっての同盟価値も下がっちゃうね、18%の国だったら同盟を結んでもいいけれども、6%の国と同盟を結ぶ価値があるかどうかとアメリカは考え始めるんじゃないか、あるいは経済産業省の現役の官僚ですが、中野剛志君は「ありもしない財政危機におびえて国防努力を怠り、みすみす中国の軍事大国化を看過した。そして、その緊縮財政はデフレを長引かせ、日本国民を窮乏化させた。にもかかわらず、財政健全化はなし遂げられなかった」と言うんですから、本当に何をしてきたんだろうと、こう思うんですね。  インフラは何か。労働人口が減る、生産年齢人口が減るのであれば、労働生産性をいかに高めるか。1人当たりの付加価値をいかに高めていくか、これに尽きるというように思います。それで公共事業の効果を見ると、1つはフロー効果、1つはストック効果ということでありまして、フローという意味ででは、先ほどちょっとGDPの定義のところで示しましたように、企業はお金を使わないんですね。これは国民春闘白書ですからやや大きな数字になっているかもわかりません。しかし、企業の内部留保、設備投資に使ってくれない、従業員にも渡さないというようなお金が543兆円ですからGDPを超えています。対前年34兆円もふやしていると。家計も支出をふやしておりません。一方では、下流老人なんていう言葉をNHKなんかが流したりするものですから、一生懸命、家計は貯蓄に励んでいます。2人以上の世帯で見ると、考えられない数字ですけれども、平均で1,815万円の貯蓄を持っています。金額にすると1,800兆円。そのうちの940兆円ぐらいが現金なんですね。要するに、これは回っていないお金ということで、経済を回していないということになっているわけであります。  公共事業の効果。1つは、フロー効果です。京都でAという町とBという町を高速道路で結ぶ事業をやったらフロー効果が出ますよ。そこで建設会社なんかを通じて地域にお金が流れる。それが乗数効果、生産誘発効果を生んで税収アップにつながります。デフレから脱却できずに内需不足でデフレになっているこの国では、こういう意味でも非常に効果があります。しかし、それではなくて、本来、ストック効果です。A市とB市の間が、三角市とペケ市の間が結ばれたら両市の間の物流、人流が円滑化、効率化する、これが我々の目標ですよね。これで企業や行政や観光が活発になる。そのことで税収がアップされる。また、結ばれたことによって、両市及び両都市間の土地利用が変化します。そこには産業がやってくる、物流センターがやってくる、病院がやってくるわけですから、ペンペン草しか生えなかったようなところが高度利用されるようになる。そのことによって固定資産税が上がり、法人税が上がり、法人事業税が入る、こういうことになるわけです。それで終わりかというと、そうではなくて、今度はそれがずっと合わさって日本国全体の経済が成長し、日本国の競争力が増す。そのことがまた労働生産性が向上したということにもなる、こういうことです。  関東や東京周辺のようにネットワークが物すごい稠密なところであれば、これで議論は終わりなんですが、残念ながら京都府下全体で見ると、まだまだネットワークが脆弱であります。そういうところで言うと、先ほども山本部長がこういう言葉を使っていましたが、ネットワーク効果、リダンダンシー効果が出る。つまり、代替路が生まれるんです。その道路が使えなくなったら違う道路が使えるということなんです。いざというときでも必ずつながって孤立しないという状況が生まれるわけです。こういうことが我々の道路整備の本来の目標なんですね。  では具体的にちょっと見てみましょう。これは関東の例で恐縮なんですが、関東は環状道路がどんどん整備されてきました。一番外側の圏央道が大体つながってくる。これは位置的に言うと、遠さから言うと、成田空港ぐらいの遠さのところにいろいろ立地してきたら、右の下の図ですけれども、この地域に立地した大型物流施設等の従業員の増加が何と1万人近くも伸びただとか、東京都と埼玉県の平均の製造品出荷額の増加が1.04なのに比べて、この道路ができ上がったところは何と1.5倍にも出荷が進んでいるというように、要するに土地利用が変化してきているんです。ここ、幾つか具体的にロジスティックセンターみたいなのが書かれています。こういったものがたくさん立地してきたということになるわけですし、またこれも圏央道沿いですけれども、企業立地や新規雇用、新規投資、税収等に大きな効果をもたらしていますということなんですね。  IMFが2014年にレポートを出しているんですが、IMFも今は停滞した経済を刺激するためには、インフラ整備が最も有効だというようなことを言っています。そのIMFのレポートの中にインフラが提供するサービスが民間投資と高度に補完的であるため、潜在的に民間投資をクラウディングイン、呼び込んでくる、そして総需要を増大させる。この国は総需要が足りなくて困っているわけですから、総需要を増大させる。こういうことになるからインフラ整備が必要だねと。財政再建をしろ、財政均衡をやれと言っているIMFですら、もうこういうことを言っている、こういうことなんです。その現実の証明が我が国ではこういった例ででき上がっているわけです。  また、観光エリアなんかで見ても、この色塗りをしたところが羽田、成田からの2時間圏でこんなに広がっていっているわけです。こういう多くの地域にインバウンドの連中を呼び込んでくることができるようになっているし、高速道路の大回りができましたから、例えば東名方向から東北方向あるいは常磐方向には、東京の都心を通ることなく抜けていくようなことができる。それは時間短縮になりますし、コストの縮減にもつながっている。混んでいた一般国道がこんなに混まなくなりました。これは写真のタイミングにもよりますが、こういうことが言えるようになってきているということなんです。関東では、さらに第4番目の環状、外かく環状道路(外環)と圏央道の間ですね、東金から野田だとかいうようなところを通って横浜環状にぶつかる、こういうネットワークがつくられるといったようなことが必要なんだろうというように思っております。  また、熊本で地震がありました。この高速道路は4車線でつくられておりましたから2車運用ができたりしたこともあったんですが、ここに行くのに東九州道ができ上がっておりましたから、相当な迂回ではありますが完全に孤立することなく物を届けることができたんですね。これが先ほど私が言ったリダンダンシーというような意味です。つまり、ネットワークが充実していることによって、こういうことができるというわけです。  では、我が関西、京都をどう考えるかということなんですが、まずお示ししたいのは首都圏の図なんです。これをごらんいただきたいんですが、首都圏は極めて恵まれている、環状道路が引きやすいというような状況になっております。これに対して、関西・近畿圏は、ぱっと見て大阪湾の入り込み方が非常に大きいというようなことだとか、東西の国土軸が京都と大阪の間を通っていますが、それ以外のところに軸がないんです、この関西の場合は。そういうようなのが非常に大きな影響をしているのではないかと私は考えております。  お手元にあります近畿全体の図ですが、これをごらんいただきますとおわかりのとおり、東西を結ぶ大幹線を入れようと思うと、ここを通るしかないんです。この辺に米原がありますが、米原あたりから京都府のど真ん中を通って西のほうに抜けていくというような新たな国土軸があってもいいと思うんですが、こういった国土軸は全然提案もされておりません。私は提案されてもいいんじゃないかというように思うんですが、提案されていない。つまり、国土軸の線、枚方なんかがある京阪神地域のところに集中せざるを得ないような、そういう構図を持っています。これが非常に脆弱なのは、阪神・淡路大震災が起こったときに東西幹線が全部切れてしまいました。阪神高速も山陽道も中国道も切れてしまうというようなことがありまして、日本国が東西に完全に分かれてしまったことがありました。したがって、国道9号だとか国道27号に交通が集中して、にっちもさっちもいかないというような経験を我々はいたしました。つまり、リダンダンシーが足りないんですね。  交通需要があるところに道路をつくればいいという考え方に我々は長い間縛られてきましたから、日本全体のいざというときのことを考えたネットワーク配置だとかいったようなことになかなか及んできていなかったということなのであります。  そうすると、私が今申し上げたような背景を踏まえて言えば、それぞれに現在提案されているところではあると思うんですけれども、現在提案されていないので言うと、この中では、これは私の思いを書いているのでありますが、京都北環状、こういうルートです。この北環状は、ちょっと京都に寄り過ぎているかもわからないとすら私は思っています。これが京都全体の環状道路を構成するんですが、南側ばかりが非常に強い、こういうネットワークになっています。あるいは、福知山市のほうに結ぶ道路だとか大阪の新御堂にそのまま入っていけるような路線だとか、山陰近畿自動車道、舞鶴宮津、中丹連絡、京都北環状、亀岡箕面連絡、それから真ん中にあります堀川線、大津山科線、宇治木津線、この構想はもう既にあるようですが、こういったネットワークはぜひ早期に計画決定をし、整備していく必要がある、このように思っております。交通インフラが持つ意義というのをぜひぜひお考えいただきたいというように思います。  最後に若干持論を言わせていただきたいんですが、現在もなお、東京首都圏一極集中が進んでおります。大阪が総人口というか、人口を吐き出し始めてもう10年以上になっています。中京圏も人口を減らし始めております。中京圏が人口を減らし始めてもう5年ぐらいになります。関東だけが集め続けている。これは我が国の存続にとって非常に危険なことです。したがって、第2軸が絶対必要であります。第2軸をつくろうと思えば、その地域にそれだけのポテンシャルがなければなりません。それを担うことができるのは、かつての議論だったら二眼レフ論の関西圏、大阪圏だったのですが、残念ながら大阪にそれだけの力がなくなりました。そうすると京阪神の連携と中京圏との連携というのが絶対必要で、中京圏と関西圏が一体となって関東から企業や人や大学を奪ってくる、そういう構造になければならない。それができるだけのポテンシャルがこの地域にはあるということを考えております。今、私が属しております新産業プロジェクト協議会、これは民間の勉強会なんですが、ここでも関西圏、港をどうするか、北側のソウルの釜山港の受け皿となる港をどう考えるかといったようなこともあって、敦賀でありますとかそういうところを強化してはどうかといったような議論も含めて、この関西圏を中京圏とあわせて広域交流圏的な位置づけにする、こんな議論をしたいと思っています。  そうなると、キーを担うのは京都なんですね。京都が最も中京圏に近い関西であります。この京都が中京圏との関係をどれだけ強くしていくのかというようなことだと思っておりまして、そういうことで言うと、京都北環状もいいんですけれども、米原あたりからズドーンと抜けてくるような新たな国土軸があってもいいのではないか、第2国土軸というのも必要なのではないか、このように思っております。  私は、先生方にお願いして、今こそ将来の人々のための資産となるようなインフラ整備を進めていただきたい、このように思います。インフラ整備をすれば、今、建設国債でやるわけですから、将来世代への借金が残るじゃないか、このように思っておられるかもわかりませんが、建設国債分を政府の債務として計上している国はそんなにたくさんあるわけではありません。例えば、イギリスはこれを政府債務から抜いています。なぜかというと、先ほど公的固定資本形成のところに書きましたように、建設国債発行分は必ず道路か港湾か堤防かダムかの形で資産となって、この国土の上に残っています。今、270兆円ほどの建設国債の発行残高がありますが、270兆円分の財産がこの国土の上にインフラという形で残っています。したがって、見合いの財産を持っている政府債務なんですね。したがって、イギリスはブレアの時代から、政府債務のカウントから外しています。日本はよく、世界でGDPの2倍もの政府債務、財務省の言い方は借金ですが、正確には政府債務がある国はないんだと言いますが、その政府債務にカウントしているものが海外と日本ではかなり違うんだといったような議論をしている経済評論家や経済学者を見たことがないです。かなり違うんです。そういうことから調べていくと、日本の政府債務も彼らが言うほど大きいものではありません。あったとしても、ほとんど国際金利も上がっておりませんしということから言うと、まずやるべきことをちゃんとやる、それで経済を成長させて税収を上げていくということのほうが大事。先ほど、中野剛志の言葉を紹介しましたが、財政危機だ、財政危機だといって支出を削減していったら先進国の中で日本だけが政府債務のふえ方が大きい国になっちゃったということでありまして、これは実に奇妙なことであります。財政再建至上主義が正解ではないということをこの20年間の日本が示した、このように思っております。  余計なこともいろいろ申し上げましたが、京都府が発展するために幹線ネットワークが必要だということを御理解いただくためにいろんなことを申し上げさせていただきました。お聞きいただきましてありがとうございました。 8: ◯兎委員長  ありがとうございました。  説明はお聞き及びのとおりでありますが、もとの状況に復するまで、しばらくお待ち願います。  本日の所管事項の調査におきましては、テーマについて、参考人も交えて委員間の活発な意見交換の場となるよう運営してまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、御意見、御見解等がございましたら、御発言を願います。 9:   (発言◯小原委員  大石先生、御説明ありがとうございました。大変興味深いお話でありがとうございました。以前に先生の御著書も読ませていただいたんですけれども、本当に大変感銘を受けまして、きょうはお話を伺えて大変感動しております。  まず、私は京都北部の舞鶴ですので、特に地方のモビリティーの確保という観点から、先生がこれまでも言及されてこられたとおり、山陰近畿自動車道の整備というのは御存じのとおり、全国で残っているたった3つのミッシングリンクのうちでも最もおくれているといった状況の中、厳しい財政難の中でもこういったミッシングリンクを解消していかなければ、いわゆる血液が流れない状態になっていると。これは、各箇所に幹線道路網をつくったとしても、つながらないことによるマイナスというのは非常に大きいと思っております。まずは大前提として、こういったミッシングリンクの解消という形で循環をつくり出すことが何よりも大事だと思っております。  その中で、私がきょう御質問したいのは、先ほどからもいわゆるグローバルスタンダードについて教えていただきました。つくった道路を生かすという発想についてなんですけれども、例えば関西の経済団体である関経連さんのレポートの中で、道路を使った物流サービスの中で企業が求めるものというのはトータルコストの削減、かつ、リードタイムの短縮で、物流ルートの信頼性ということを挙げておられますが、先ほどありましたように、日本の場合はストップが多いとか、高速道路を走るキロ数も低いとか、さまざまな課題が国土的にもあるとは思うんですけれども、こういったネットワークを生かすという観点から考えると、例えば港湾と道路と空港、こういったもののネットワークをいかに国としてつくり出していくかという大きな計画、考え方というものが必要だと思っております。また、アジアの時代に入ってきているという部分も加味していかなければならないと思っております。  そこでなんですけれども、このつくったものを生かしていくという観点の中で、私が地方出身なので思うことがあるんですけれども、トータルコストの削減という発想というものがこれまでの計画の中に考えられて、日本の国土形成の中で考えられていたのかという、ちょっと大きな質問になってしまいますが、そこをお伺いできたらと思っております。 10: ◯大石参考人  先生がおっしゃるトータルコストというのは、例えば企業なら企業側から見てですね。 11: ◯小原委員  はい。 12: ◯大石参考人  当然、道路の評価手法の中にも、そういったコストが縮減されるというのがB/C評価をやる場合でも含まれておりますけれども、残念なことに、例えば東名や名神ができたことによって我が国のGDPがどれだけ増加したか。増加するということは、それだけ高速道路を使うことによってコスト縮減になり、効率が上がるから使っていただいているわけで、つまりその効率分がGDPのプラス分にはね返ってきているわけですね。そういう計算をして、国民の皆さん方に示したということは、今までまずないんです。これを少し力を入れてやろうというように思っておりまして、土木学会としても、土木の事業の成果を国民の皆さん方にわかりやすく御理解いただくというのは大事な使命の一つにもかかわらず、そこのところは十分ではなかったという反省をしておりまして、一番反省せないかんのは国土交通省かもわかりませんが、反省しておりまして、今、先生がおっしゃったような意味で、経済全体にインフラがどういうプラスの効果を与えてきたのかということを定量的に示す努力をしようという動きが本格化しております。今までは、正直言ってB/Cに反映されるぐらいのもので十分ではなかったと反省しています。  ありがとうございました。 13: ◯小原委員  ありがとうございます。まさにB/Cの考え方もそうなんですけれども、やはり東京一極集中といいますか、都市部の観点から考えていくと、北部とか、まだミッシングリンクと言われるところはB/Cというものは低くなっていくかもしれません。もちろん、いろんな係数がある中でのB/Cであるとは思っておりますけれども、今後循環をさせていくミッシングリンクを埋めていくというのは国のほうも方向を出していると思いますので、これをつくって生かしていくという発想の中で私なりの思いがありまして、港と道路をつなげる、生かすということであれば、例えば鳥取においては新直轄方式によって無料区間があると。都会に無料区間をつくってしまうと渋滞を巻き起こすとかいろいろあると思うんですけれども、地方においてつくったものを利用してより生かしていくという観点を考えると、財源の問題もありますけれども、空港ももちろん大事ですけれども、物流の98%台ぐらいはほとんど海運でしているということを考えると、今後の日本の国づくりを考えるに当たっては、やはり日本海側、地方港、そして普通であれば人口が少ないのでなかなか使われない、人が通らないということを心配されますけれども、使われる方法を考えるというような新たな発想も必要だと思っているんですが、それについて御見解があれば、よろしくお願いいたします。
    14: ◯大石参考人  ありがとうございます。先生おっしゃるとおりで、使われなければなりません。使いやすい整備の仕方というのも考える必要があるんですが、交通台数が多いから、それは十分に使われているいい道路なんだというのは、極めて交通渋滞が激しい大都会での物の見方であります。いざというときに通れるかどうか、つながっているかどうかという価値は、それをはるかに上回るものだと、このように思っております。したがって、リンクはミッシングであってはならないというのは絶対だというように思うんです。  例えば、環状道路一つ考えても、これはシミュレーションみたいな話なんですが、質問をいただいたのに乗ったらいかんのですけれども、これは首都圏の環状道路の絵を描いてみましたが、ずっと順番につくってきまして、これはもうあきました。これはまだあいてません。圏央道全体の環状機能が発揮されるためには、これがつながらないとだめです。そうすると、ここの効用は、残りの効用全部と匹敵するんです。これをつくらないと閉じませんから。そうすると、ここの建設費が幾らだった、ここの交通量が幾らだったというのは、この環状道路全体をどう使うかということから見れば、はっきり言って枝葉末節の話なんです。それを我が国はB/Cだといって、こことこことの間、要するに農道と農道の間のリンクの評価手法でしかない、そういったものでずっと評価してきたわけですよね。だから、その評価の仕方そのものがおかしいというように私は思っていまして、このB/C至上主義から我々はいいかげん脱却しなければなりません。ネットワーク評価主義みたいなものに変わっていかないかんというように思うんですね。これなんかは一つの例で御説明しましたけれども、残っているところの効用、あれは非常に大きいものがあるわけで、したがってあそこは少々お金がかかってもやるべき場所だということはおわかりいただけると思うんですね。こういう考え方がもっともっと広がっていってほしいなと思っています。 15: ◯小原委員  先生、ありがとうございました。まさにネットワーク評価主義というお話をいただきまして、これからもいろいろと御指導、教えていただけたら幸いでございます。よろしくお願いいたします。 16: ◯大石参考人  ありがとうございます。 17: ◯小原委員  そして、この話を受けて理事者から何か御見解があれば、よろしくお願いいたします。 18: ◯山本建設交通部長  我々も道路整備をしていくに当たって、今お話にあったようにB/Cというのが一つの指標になっていろんな評価をしているんですけれども、Bというのはいわゆる3便益と言われていて、本当に直接的な便益しかカウントしてないと。今お話にあったような国土軸の形成だとか企業がどうだとかGDPみたいな話は、本当にカウントができていない。それもB/Cの外側で何とか説明しようという努力はしているものの、そこはまだまだ不十分なところがあるんだろうと。  道路のネットワークの話がありましたけれども、今、事業中のもの、あるいはいろいろ御提案をいただいたものもありますが、やっぱりそれは単純にB/Cだけで説明できなくて、もっと多様な方法で説明していくべきものなんだろうと。あと、小原委員おっしゃっていたように、例えば港湾との連携とかそういったことも、もっと広い視点で考えていけば別の説明の仕方があるんではないかというようなことを改めて私のほうも感じたところでございます。 19: ◯小原委員  ありがとうございました。何とぞ、引き続きよろしくお願いいたします。  以上です。 20: ◯中川委員  関東首都圏は環状がどんどん広がっているというのは、そもそも東京都内に製造業をつくってはいけないというのがあって、それで東京の近いところからだんだん広がっていって、東京都内が本当に渋滞で、いかに東京を避けるかというニーズがあった中でできていると思うんです。関西の場合はまだまだ大阪とか京都の中心部に企業が来る理由があって、先ほど先生のおっしゃっていた中部とつなぐという意味では確かにいいのかもしれないですけれども、米原から北環状ですか、あれでいくと京都も大阪も通り抜けて向こうへ行っちゃうみたいなイメージなんですけれども、ああいう道路をつくることによって、大阪中心に集まっていたものが外に広がっていくということが今の大阪のキャパ、京阪神のキャパから見てあり得るんだろうかと。そういうのが広がっていくのであれば、本当に地方創生というのは、関西の中でも今一極集中みたいなところがあるんで、それはやっぱり外に広げていくべきだと思っているんで、それはそれで、そういうことが可能であればすばらしいなと思うんですけれども、それはどうなんでしょうか。 21: ◯大石参考人  先ほど私が言わせていただいた米原あたりから琵琶湖を渡ってというのが大阪の中心部の負荷を軽減するかということになると、これは難しいと思います。それは、かなり考え方の軸足が違う路線であると思っていまして、東海道や中国道につながる国土軸にかわる新たな軸線としてこの国土を縦貫させておく必要があるのではないかと。そういう路線が京都の北部にあってもいいのではないかと、そういう感じですね。それは何かを引っ剥がしてくるのではなくて、そのことが新たな何かを生み出す、そういう効用をもたらす、そんな期待をしたいと思う、そんな話であります。 22: ◯中川委員  リダンダンシーというか、先ほどいざというときに使える、つながっているということがすごく大事だと、私もそれはいつも本当にそうだなと思っておりまして、その際に、そういうのができて、それが結局何かを生み出すかもしれないですけれども、私、この話は、多分、財務省をどうにかしなければいけないというような話になるのかなといつも思うんです。財務省の人たちの考え方は、今の条件から出ないんですよね。これができた後、どんな夢が広がるんだという話は一切しないで、先ほどのB/Cの話もそうなんですけれども、その効果なんて余り見ないんです、新たに生み出される見えないものは評価しないというか。だから、そういう夢を語っていくというのは、先ほど国の代表、首相とかがインフラのビジョンというもの、国家をどうつくるんだという大きなビジョンを絶対発表しないと言ったので、それがないからかなと思っているんです。1つは財務省の考え方を変えていかなきゃいけないですけれども、もう一つは、将来総理になるとか、それを担っている人たちに、その辺の意識改革をしてもらわなきゃいけない。ずっと見ていて、安倍さんもそうなんですけれども、小泉さんのときから本当に自民党で財政出動とか言いながらも、結局、緊縮財政派の人たちばっかりなんですよね。だから、その人たちは、多分、目先しか見えてないのかなという気がするんで、そういった教育じゃないですけれども、啓発というか、政治家に対することをしていく必要があると思うんですけれども、それはどうやってしていったらいいんでしょうね。 23: ◯大石参考人  私が委員長に御質問したいぐらいな話ですよね。財務省の連中が単年度の財政均衡を志向している、財布の守り人として、そのことに熱心だということは否定しません。そのことはよくないことだというようなつもりもありません。だけど、もう少し中長期的に我が国の税収をふやすためには何をすればいいんだといったようなことについても、単年度の財政均衡だけではなくて、視野を広げた目を持ってほしいなと、このように思うんですね。そこは残念だというところがあります。  今、先生がおっしゃったことに関連して申し上げますと、我が国は今、残念なことに、京都なら京都の幹線道路をいつまでにどこをつくり上げるかというインフラの整備の中期計画、中長期計画といいますか、そういうものが全くない国になってしまいました。かつては全総や、道路で言うと、道路整備5カ年計画といったようなものがあって、具体的に5年間でどこに何をつくりますというのを明示していました。これは道路特定財源という特別の税金をいただいていたからこそ、納税者に対する責任という意味もあってそういうことを発表していたのですが、現在では道路特定財源制度もなくなったということで、そういった中長期のインフラ整備計画はなくなりました。これも先生、残念ながら世界で日本だけなんですよ、中期計画がないのは。したがって、国民の皆さん方に、5年たったら我が地域はどうなるんだという絵姿を見せないままインフラ投資をやっている世界で希有な国なんです。これは、おかしいんです。そういう計画をつくると、将来への支出圧力が高まるからというのが理由になっているんだそうですが、これはおかしいと思うんですね。世界中の国がみんな持っているんですから。我が国だけが持っていない。一体、インフラ整備でこの国がどっちの方向に行こうとしているんだということが国民に見えない、そういうことになっているというところを、ぜひ、先生方の力で変えていっていただきたいし、変えていただかないと、例えば民間の方から見れば、5年後にあそこにインターチェンジができるんだったら、うちもぼちぼち物流センターの新しいのを考えようかなといったようなことを考え始める、そういうことができないということですよね、単年度で来ていますから。したがって、先ほどIMFの民間の投資というものをクラウディングインするんだという話がありましたけれども、政府が幾らお金を使ってもしれています、民間が使い出してくれないと。民間がお金を使い出してくれるのを引き出す誘引剤としてインフラという意味があるわけですから、中期計画は極めて重要だと、このように思っておりますので、ぜひぜひ、中期計画の必要性を訴えていただければなと思います。 24: ◯中川委員  ありがとうございました。まさにおっしゃるとおりで、本当にどうなっていくんだろうなというのが我々も全然わからない中で、いろんな政策提案をしているんですけれども、やっぱりそういったことは国民運動のような形でしていって、とにかくやっぱり自分の国のあるべき姿というのをしっかり見据えていかなきゃいけないし、明瞭にしていかなきゃいけないなと思うんで、私もそれをちょっと頑張っていきたいなと思います。  どうもありがとうございました。 25: ◯二之湯委員  どうもありがとうございました。まず、冒頭お伺いしたいんですけれども、きょうのお話いただいた講演のテーマが「地方創生に向けた幹線道路整備について」ということなんですけれども、ここで言う地方創生というのはどのようなことをイメージされておられるのかなと。お話の中で、それらしいというのは、やっぱり東京一極集中はよくない、是正すべきだと。これは地方創生のもちろん根本の考えですけれども、幹線道路整備という国土軸をつくるというような非常に大きなお話をされているので、例えば京都府で地方創生というのは、地域創生という言葉に置きかえまして、ある市町村の、またその市町村の中でもこの地域の振興という話になるんですけれども、基本的に先生のお考えなのは、国土の構造を一極から多極、いや、多極というのも世界競争の中では難しいから二極、その二極というのも関西とか中京とか東海とかいう今のくくりでは難しいから、近畿東海圏での二極、こういったことを実現させていくというのが大きな意味での地方創生というふうなお考えなのかなと思ったんですけれども、そのあたりのお考えを。 26: ◯大石参考人  地方創生というので言うと、先生が今おっしゃったのとは少し違う感覚を持っていまして、私は日本国土38万平方キロを、人々が居住地として選択する、企業が工場なりの立地場所として考える、そのことがより自由である環境、より自由に場所が選べる、それが本当の地方創生だと、このように思うんですね。それは居住地選択についても同じでして、大都市周辺にいないと仕事の機会がないから、そこにへばりつかざるを得ないというような状況をできるだけ緩める。どこでも住めるよということにしていく、そういう環境をつくっていく、それが私は地方創生なのではないかというように思うんです。  そういう意味で言うと、きょうは幹線道路系の話をしましたけれども、それ以外に地方はもっとコミュニティの中でというか、エリアの中での交通をどうするかという問題もあるんです。例えば、よく言われておりますような富山県の域内交通を処理するためにああいうシステムをつくり上げましたよね。富山市ほどの大きさだったらあれでいいけれども、もっと小さいところだったらどういう交通システムがいいのだという域内のコミュニティの中でとは言わないにしても、そういう中での域内交通を処理するための交通、モビリティーをどうやって高めるかというのと、全国とどのようにつながるかというモビリティーをどう確保するのかというのと、2層、3層ぐらいのレベルがあると思うんですね。だから、そういうことをやることによって、我々が居住地をもっともっと自由に選べる、そういう環境をつくり上げていくことこそが地方創生であり、私は日本創生だというように思うんです。  といいますのも、ちょっと話が飛ぶようですが、先生もお読みになりましたか、去年大分はやったんですけれども、「LIFE SHIFT」という本が売れましたね。人生100年時代という。ほっておいたって100歳まで生きちゃう時代が来る。そうすると、1つの職業だけでは乗り切れないよと。2つの職業、3つの職業を持たないかん。伊能忠敬みたいな、そういう暮らし方ができないとだめだよと。そのためには、その本の中にもおもしろい言い方があったんですけれども、若い時代にリクリエーションに時間を使うのではなくて、「リ・クリエーション」、自分をもう一度クリエイトするというようなものにお金を使わないかんよと。私で言うと、土木を学んできて今日まで来ましたけれども、土木以外におまえは歴史を教えられるのか、地理学を教えることはできるのか、子どもに漢文を教えることはできるのかといったようなマルチな能力を身につけて100年まで乗り切らないと乗り切れないというようなことを書いてある本なんですが、そういうことを考えると、大都会にへばりついておらなければならないことなんか全くないんですね。そうすると、私はこの豊かな地方をもう一度日本人が日本人共有の財産として生かす、そういうことを考えなければこれが処理できない時代が来ると思うんです。というのは、東京のど真ん中で多世代で暮らすことなんか絶対無理ですよね。核家族が精いっぱいですよ。現に、東京の核家族率は92%ですから、核家族で暮らさざるを得ない。ところが、熊本で地震が起きましたけれども、看護師さんが何とか出てこれたのは、熊本は核家族率が75%なんですよ。25%がおじいさん、おばあさんと暮らすことができているわけです。だからこそ、あの地震があって自分の家も大変だったけれども、おじいさん、おばあさんに子どもの面倒を見てもらって看護師さんが病院に出てくることができた。この違いは結構大きいですよ。こういうことが可能なような地域だとか暮らしぶりというのを、これからの国民は求めていくし、そうしないと我々今日本が抱えている問題を解決できないのではないかというように思ったりしているんです。これは一つの仮説でしかありませんけれども。したがって、東京や大阪に集中しなければならないがゆえに、我々は核家族という家族形態を選択してきたけれども、実際、昭和20年代の家族で見ると、6人以上世帯というのが4割なんですね。今はそんなにいませんけれども。というようなことを考えてみれば、我々はもう一度そういう時代に復帰する、家族力に頼る、社会力に頼るのではなくて、介護保険も年金も医療も厳しくなってくるような状況になったときに、もう一度我々の家族力をどうやって生かすのかということを考えれば、地方というものが極めて重要な地域で見えてくる、そんな時が来るのかなと、半分ロマンみたいな話ですけれども思っております。だから、モビリティーというのは幾つかの段階があるということを申し上げたかったんです。  済みません、だらだらしゃべりまして。 27: ◯二之湯委員  地方創生の奥の奥のほうまでいろいろとお考えをお聞かせいただいて、大変参考になりました。そういった居住の自由が認められるためにも道路が必要だということもよくわかりましたし、その階層があるということもよくわかりました。  道路の問題になりますと、例えば中国なんかと比較したらわかりやすいんですけれども、やはり日本は土地の買収だとか、京都府で言うと、それこそ地籍調査が全く進んでいないと。全国ワーストですよね。あと、田舎で暮らすということも、私が最近思っていますのは、私の選挙区にも過疎の集落があるんですけれども、結局、田舎も土地利用の問題が非常に大きいと思うんです。今まで10戸の農家が暮らしていたところを、例えば2戸、3戸の農家であればまだ続けられるけれども、それを集約することはできないと。最後は、これ民間の土地ですよねと、民間の財産ですねということで、結局、当人同士の話し合いがうまくいかずに集落自体が消滅してしまう。これは山のほうがもっと深刻だと思うんですけれども、恐らく土地の問題ですね。本当は私有財産でなかなか踏み込めないというのはわかるんですけれども、これを、道路建設もそうだと思うんですけれども、大石さんは技監として建設省からずっと来られたと思うんですけれども、そういう問題にはたくさんぶち当たったのではないかと。全体的に日本の土地利用とか、それに対する行政の権力がやっぱりちょっと弱いといいますか、思い切ったことができない。それで道路整備の可能性や雇用の可能性、産業育成の可能性を損ねている部分が非常に大きいのではないかなと思うんですけれども、ちょっと外れるかもしれないですけれども、その点につきまして今までの御経験上、ちょっとお話をいただくとありがたいです。 28: ◯大石参考人  先生のお考えと全く同感でありまして、私も現役時代に一番力を入れた仕事の一つが、日本は先進国の中で唯一地籍が確定していない国だと。現在の日本の地籍確定率は、全国平均で52%ぐらいですよね。半分程度しか地籍が確定していない、土地の境界線、所有者、地目がはっきりしているという土地が52%しかないなんていうのは、こんなのは恥もいいところですよね。こんな国はありません。と同時に、最近、極めて話題になってきましたけど、所有者不明の土地が急増していますよね。ある人の説によると、九州の面積を超えているというぐらいに土地所有者が不明になっている。これじゃ、何もできませんよね。最も根幹的な国民共有の財産であるべき土地に関して、これだけ制度的な怠慢を放置してきた国はないと思います。こういう問題が提起されている今こそ、外国人の土地所有も含めて、我が国の土地政策を確立する必要があると思いますね。そうしないと、今、先生もちょっと触れていただきましたけれども、公共事業をやる際にもこの地籍が確定していない、土地の所有者が不明であるということが大きく足を引っ張っています。そういう土地に当たると大変なんですね、なかなか前に進まなくて。そういう公共事業のコストを下げる意味でも、こういう土地に関する諸制度、不明者と地籍というのを早期に政府を挙げて確定していくということをやる必要があると私は思っております。 29: ◯二之湯委員  先ほども少し出たんですけれども、道路は例えば駅と駅を結んだり、海外の港と港、空港と空港の移動の後の域内の交通ということになると思います。これから人口減少下で、やはり外需というものも日本国内の消費を引っ張っていただくものにするということで観光立国といいますか、そういったことも出ていると思いますけれども、そういう意味でいったときの日本の港湾とか空港の整備、そしてそれの考え方というのは、インフラとくくったら先ほどの話からは推測できるんですけれども、世界と考え方が違って、そのあたりについても手だてが非常におくれているといいますか、そういうことなのか。それと、港湾や空港というものと、道路とのかかわり方ということについての考え方というのはどうなのかということをちょっとお尋ねしたいと思います。 30: ◯大石参考人  空港そのものについて私は余り語る能力はありませんが、空港について言うと、残念なことに、成田空港を整備し始めたときは、アジアの中で最も先進的な空港整備でありましたが、今日、成田と羽田を合わせてもアジアのハブ空港化できているかというと、仁川、金浦に完全に負けていますというようなことですし、滑走路の数なんかで言えば、タイにできる空港なんかのほうが4本もの滑走路を抱えるということですから、十分じゃありませんよね。そういう意味でも整備が必要だと、このように思います。  道路との関係で言えば、多くのところがラストワンマイルが十分でないところが多い。これは、それぞれの所管の対立なんかもあってうまくいかなかった面も過去にはあったんです。だけど、今、もうそんなことを言っている時代じゃありませんから、最後のワンマイルをちゃんと高速道路と港湾がつながっている、空港とつながっているという状況を早く整備していく必要があると、このように思っております。 31: ◯前窪委員  先生、ありがとうございます。先ほどドイツと比べて日本の高速道路網の整備が大変おくれていると。ドイツだけではありませんが、アメリカも含めまして、そういうことでありました。ドイツでは1万3,000キロ、日本は1万1,500キロ、そういう水準だと。先生、日本列島高速道路網を一応これでネットワークそこそこできたかなと、ドイツ水準へ追いついたかなということになるためには、あとどの程度の整備をすればいいのか、その辺、おおよそのキロ数みたいな思いがありましたら、ちょっと教えてほしいなと思ったんですがね。 32: ◯大石参考人  我が国をどの程度の延長の高速道路ネットワークでカバーすれば、それぞれの地域に住んでいる人々に対してほぼイコールというか、余り格差のないサービスができるかということを我々の先輩たちは考えました。それは、第四次の全国総合開発計画の中でその答えが反映されました。それは1987年のことだったんですね。物すごく昔。そのときに出した数字が1万4,000キロだったんですね。1万4,000キロのネットワークでカバーすれば、大体、国土を平均的にカバーできるかなということを考えたのですが、最近、それ以降に、その1万4,000キロを補完する形で地域高規格というネットワーク、これは京都と兵庫を結ぶ路線も。そういう提案されている1万4,000キロではミッシングとして欠けていたようなところをつなぐというようなものも含めて、だから、まあ言えば1万4,000キロプラスアルファがあれば大体高速道路のネットワークかなというのを出したのが、四全総のときなんですね。EUができたときも、EUは全体としてこれだけのネットワーク、鉄道ネットワーク、空港でカバーするんだというのを何回も出しているんですが、EUが何回も出すたびに、その数字はふえているんです。EU全体は人口はふえてないですよ。日本は1万4,000キロをその四全総のときに出したら、それを減らしていないと怒られているぐらいですから大変なんですが、私も1万4,000キロプラスアルファぐらいは、この国の国民が持っておられるポテンシャルを引き出すためには必要なんだろうなと思っております。 33: ◯前窪委員  私も外国経験なんてほとんどないんですけれども、アウトバーンを少しバスに乗って走ってもらったことだとか、フランスからスペインのマドリード、あるいはスペインのマドリードからバルセロナ、バルセロナからフランス、若干、鉄道で回らせてもらったことがありましたけれども、延々とオリーブ畑であったり平野部であったりが続いていますね。日本の高速道路網がある程度、例えば和歌山でしたら紀伊半島のかなりの部分にできつつありますが、先日、すさみインターから海南インターあたりまで走るのに、山また山の中を、トンネルまたトンネルというようなところを走っていかなければならないと。リニア中央新幹線の計画もありますけれども、これも8割方が大深度地下だとかいうようなことで、日本では高速道路網の整備に対する投資の額、建設費用が相当多額に上っているというのが進まない原因の一つではないかなと思ったりするんです、そういうところばかり通っていますとね。その辺の困難性というのは、先生はどう見ておられますでしょうか。単純にドイツとかフランスあたりと比較するというか、それだけではいかないところが日本ではあるのかなと思ったりもしますけれども。 34: ◯大石参考人  先生の御指摘のとおりでありまして、したがって一時期、日本の高速道路も新幹線もヨーロッパに比べてキロ当たり単価が高過ぎるというような叱られ方をしたことがあります。しかしながら、今、先生が御指摘されましたように、トンネルと橋梁が総延長に占める割合は、例えばフランスの高速道路で言うと、私の記憶ですと総延長の約4%なんですね。ところが、新東名、名神のようにあれだけ速度性を重視した、線形を重視したような路線にしますと、我が国の場合は何と6割がトンネルと橋梁なんです。トンネルと橋梁と、単なる盛り土の部分とコストがどれだけ違うかというのは、ちょっとお考えいただいてもおわかりのとおり、全然違います。ちょっと古い数字なんですけれども、日本の高速道路を片側2車線でつくると50億円から60億円ぐらいですよね。ところがフランスは、これはレートを幾らに見るかによっていろいろ変わってくるんですが、私が調べたときですと、フランスですと14億円ぐらいです。そうすると、日本の用地買収費にちょっとプラスぐらいなんですよ。日本の用地買収費はそれに近いぐらいお金がかかっているというようなことですので、非常にコスト高であることは確かです。しかし、そういう国土を我々は与えられちゃって、この国土を何とか生かして都市と都市とを結び、産業地と消費地を結んでフランスやドイツなんかに対抗せざるを得ないわけですよね。したがって、これを乗り越える努力を彼らよりもしなければならないことは確かであって、だからといってその努力を惜しんでいたのでは、我々は彼らの後塵をずっと拝してしまう国になる、それを是認するということにならざるを得ない、こう思います。 35: ◯前窪委員  それで、高速道路ネットワークの整備ということと、例えば京都南部で言えば、既存の国道163号とか国道307号とか、ここあたりも物流のかなりの部分を担っているということでもあります。高速道路は割合、新名神なんかは、やるとなったら早いんですけれども、一般国道の整備なんかはなかなか進まないと。さらに、国道24号みたいに生活道になっている一般国道、それから京都府道、私は宇治に住んでいますが、京都宇治線だとか城陽宇治線だとか既存の地域の幹線を担っている道路整備が全くおぼつかないという状況にあります。  それから、最近の土砂災害等でいきますと、地域の生活道路が遮断されて孤立するというケースが多いんですよね。高速道路が何ぼ近くにできておっても、一般生活道路の整備なり治山・治水の部分がまだ十分ではないという状況の中で、道路が損壊して孤立をするという、こういうケースも結構あるということでいいますと、確かにリダンダンシー機能を高速道路が担うという部分はあります。しかし、実際その村で、集落で生活している者にとっては、近くの川であったり、その集落に入る道路網の整備など、これもなかなか日が当たらないんですけれども、いざというときには大変な実情にあるというようなことですので、この限られた財源ということでいいますと、日本の一部大企業はかなり大もうけをして、その543兆円のもうけはどんどん内部留保にたまってしまって設備投資にも回らない、賃金にも回らないということだとか、老後の不安、教育の不安があって貯蓄をせなあかんというようなことで、先ほどもありましたように1,800兆円、タンス預金も含めてそういうところにお金が眠っているということで、この眠っているお金をいかに循環させていくかと、そういうことをやって地域の賃金を引き上げたり、中小企業などを支援したりして、大企業なりにたまっている内部留保をできるだけ生産、商品に回るような仕組みをとらないと。先生の言われることはよくわかるんですけれども、際限のない高速道路網の整備、しかし財源は全く追いついていかない、こういう中でのジレンマに入ってしまうと思います。  それで、そこのところの解決の道というのは、先ほどいろいろ示唆はあったんですけれども、どういうふうにしたらうまく循環していくか。高速道路網を突破点として、それで生産性を上げる、循環性を高めていく、そういう方向で、これは突破口なんだという意味合いで我々は受けとめさせていただいたらいいのかどうか、その辺の思いなんかをちょっと聞かせてください。 36: ◯大石参考人  先ほど、アメリカと日本の税収構造の絵をお示ししましたが、総税収が上がっていく構造をどうやってつくるかに尽きるわけです。今、民間が完全にデフレマインドになっていて、投資をやらない。最近の企業投資改革もリスクをとりにくいような改革をいろいろやりましたから経営者は非常にナーバスになっているんですね。そういう環境を取り除こうと思うと、まず政府が最初のイナーシャを回す以外ないと思います。それはやっぱり財政出動です。京都大学の藤井先生なんかの言い方によると、少なくとも10兆円規模のイナーシャを何年間か回す、そのことによって民間にお金が回り始めるとデフレからの脱却環境ができてくる、こういうことですから、私も同じように思っておりまして、日本は0.47に下げましたけれども、先進国でほかの国は2倍に上げたりしているわけですから、同じように上げていたら今の日本の建設投資量も現在の4倍になっているはずなんです、0.5に対する2倍ですから4倍になる。それぐらいの環境を早くつくり上げておれば、こんなことにならなかったんだろうというように思うんです。したがって、端的に言うと、建設国債の思い切った増発による財政出動です。これでイナーシャを回す。それも相当な規模で回す。1年、2年だけで完全にやめたのではだめだというように私は思っていまして、少なくとも3年は続けるというぐらいのことをやる必要があると思います。そんなに出して大丈夫かということなんですが、それが償還できるような構造をつくっていくということでもありますし、同時に言えば、建設国債はそれだけの分の資産が残っているわけですから、イギリスなんかはブレアの時代からこれはカウントしていないんですからね、だからそういう心配をする必要はないだろうと思うし、経済学者はよく国債が暴落する、暴落すると言うんですけれども、国債を売買している人がもし本当に暴落すると思うんだったら、こんな金利になるはずがないんですよ。これ、ことしの7月の金利なんですね。日本の10年物国債の金利が0.095ですよ。国債は日本人がたくさん持っているんですけれども、売買しているのは外国人のほうが多いんです。つまり、外国人が決めている日本国債の金利なんです。彼らは、日本国債は0.095程度の価格に設定してきているわけです。極めて高い価格で売買してくれている。ギリシャなんか5%もの金利を払わないと誰も買ってくれないと、こういうことになっているわけですね。あの絶好調のドイツよりも、あるいはアメリカよりも、日本の国債金利のほうが低いんです。それだけ日本の国債が信任されているわけですから、まあ言えば、これは国債の債券市場が、国債が足りないというメッセージを出しているという意味でもあるんですよ。だから私は今、民間がお金を使わない、家計が貯蓄に励んでいる、そういう状況の中だったら、むしろ国債で政府が民間のお金を吸収して使う側に回らないと経済がますます回らなくなるということになるんだろうと心配しておりまして、幸いなことにというか、残念なことに、やるべき箇所はまだいっぱいあるわけですから、それに思い切った投資をすべきだと、このように思っております。それで回り始めたら、今度、総税収が上がってくる環境が生まれてくる、こういうことなんだろうと思います。 37: ◯前窪委員  余りこの点で論争するというか、そういうものではないと思っていますが、日本の国債の金利を支えているというのは、日銀がどんどん買い受けしているという特異な構造が一方では進んで、黒田総裁のもとで、アベノミクスのもとで進んでいるという状況が一方ではありますよね。財源を捻出するというのは、経済成長で吸収をして税収をふやしていくということが本筋ではあるんですけれども、それができない状況のもとでいかにして財源をつくっていくかというのは、本当に苦労していく問題だと思うんです。高速道路網の整備なり、先ほど言われたような1万4,000キロの四全総の水準まで到達させていくという目標を持つと、そしてそれに向かって投資をしていくと、それならば、そういう計画をやっぱり明らかにする、そして一方では治山・治水、あるいは先ほど言いましたように生活道路の整備、こういう緊急課題もいっぱいある。あるいは、労働者の賃金の問題もあり、中小企業の困難さもあると、そういう目配せの中で財政をいかに予算として配分していくかと、そういうところをどう打開していくのかという点で、先生の言われることは確かにわかるんだけれども、それを今の政府はなかなか採用しようとしないと。先生も長く国土交通省、建設省からずっと勤め上げられてそういう提言もされているんですけれどもなかなかそうはならない、そういう状況にあるので、これは我々議員もそれぞれの立場で今どこに重点を置くべきかというようなことで、いろいろ提言なり意見を言っていきたいなと思います。  私は、経済を回していくためには、やっぱり内部留保なんかをいかに賃金や中小企業なんかへ向かわせるかということで消費を喚起して、経済の循環をつくっていくということがまずは必要ではないかなと思ったりもします。そういう点で、きょうの先生のお話は非常に参考になりましたし、今後またさらに勉強させてもらって京都府の道路行政にいろいろ意見を言わせてもらうということで、今後の参考にさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。 38: ◯兎委員長  御発言も尽きたようでありますので、これをもって所管事項の調査を終了いたします。  大石様におかれましては、大変お忙しい中、参考人として、本委員会のために御出席いただき、貴重な御意見を述べていただきましたことを、心から感謝を申し上げます。  また、いただきました御意見につきましては、今後の委員会活動の参考にさせていただきたいと存じます。  また、理事者各位におかれましては、本日各委員から出された御意見、御見解等について、今後の府政の推進に当たり、十分御留意いただき、府民のため、なお一層の創意工夫をされるようお願い申し上げます。 39: 3 その他   発言なし 40: 4 閉 会   兎本委員長から閉会宣告が行われた。
                                       -以 上- 発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...